
本記事の「ストーブ」は調理用のコンロになります。
「キャンプに来たけどガス缶買うの忘れたからキャンプ場で買わないと。。。。」とか、「薪か炭で調理しようと思ってたけど、風が強くて危なくて使えない。」なんて経験はありませんか?
この記事では液体燃料ストーブ(液燃ストーブ)の着火方法やメリット デメリットをまとめてみました。
液燃ストーブの特徴をまとめると
- 着火の儀式が楽しい
- 輻射熱などの高温による爆発の心配がない
- 低温に強い
- メンテナンスが容易で長く使える
- 人と被らない。
などガスストーブに比べてメリットが沢山有りますが、ガスストーブのように「捻ってボタンを押せば火がつく」と言う便利な道具では有りません。でも、キャンプって不便を楽しむ趣味ではないでしょうか?だったら面倒なストーブの「着火の儀式」も楽しんでしまいましょう。
しかもガス式と違って使用中の輻射熱による爆発の心配や、低温時に能力が落ちるなどという事も無いので非常に頼りになる道具です。
急激に発達した低気圧に襲われテント崩壊の危機にあった時、ストーブ本体に水が入り着火できなくなった事が有りますが、バラして中の水分を拭いたら直ぐに元通りに使えました。
このように、液燃ストーブは過酷な環境での使用が想定されて作られているので簡単なメンテナンスやパーツ交換をする事で一生の道具になりますよ。
筆者が所有しているストーブの中には、実父が使っていた60年前の国産メーカー「ホープ」のマナスルも有り今でも稼働します。
液燃式の燃料の種類と調達方法
日本で液体燃料と言うと、ホワイトガソリン・灯油・アルコール3種類になります。
- ホワイトガソリン:ホームセンターや通販で入手出来る。
- 灯油:全国のガソリンスタンドで入手できる。安全に保存できる。
- アルコール:薬局で燃料用アルコールを入手出来る。
比較的容易に手に入るので入手のハードルは低いですが、少々補足すると
ホワイトガソリン
キャンプ専用のものがコールマンから販売されていますが、他のメーカーからも販売されています。コールマンは自社製品を使うことで最高のパフォーマンスを発揮出来る様に調整されているのでそちらを使う事をおすすめします。他社製を使うと保証が受けられません。
ホワイトガソリンは精製されているので燃料自体の臭いが少なく燃焼時の匂いも気になりませし、鍋底にタールやススが着く事もほとんどありません
灯油
お馴染みの灯油で普通のガソリンスタンドでポリタンクで販売してくれるほど安全な液体燃料です。
常温で垂らした灯油にマッチの火を当ててもなかなか燃えませんが、布などに垂らして火をつけると燃えるので、衣服などにこぼれた場合は火気厳禁です。
燃えにくく安全な代わりに着火の時の儀式には時間がかかり、慣れないウチは面倒に感じる人も多い様ですが、慣れれば儀式の時間が楽しくなります。
灯油は何処でも簡単に入手出来るので「連休は丸々キャンプ」と言う様な人にオススメです。
燃料の臭いが有るので燃焼時にも少し臭いがありますし、着火の時は懐かしい灯油ストーブの匂いとススが発生します。
不純物が多いので鍋底にタールやススが着くのも難点ですが、使い込んでヤレた感じになります。
調理器具を綺麗に使いたい方にはオススメ出来ません。
アルコール
コーヒーサイフォンやアルコールランプに使われる物と同じで薬局で手に入ります。
簡単に火が点くので、こぼしたりしないよう注意が必要です。
手指消毒用のアルコールでも火は付きますが濃度が薄い分能力も低いが緊急の場合は代用できます。
スピリタスでも代用出来ますよ
精製されているのでタールやススが付く事は無いですが、燃焼時に独特の匂いが有ります。
注:どの燃料もカセットのガスのように突然爆発するような事は有りませんが、こぼれるとと引火する可能性もあるので専用のボトルに保存しフタは確実に閉めましょう。
着火の儀式
液燃ストーブは機種に合った燃料を使うので、それぞれ着火の儀式が違います。
以下に着火の儀式を描いたので参考にしてください。
- ホワイトガソリン:比較的簡単、加圧式ならポンピングして少しプレヒートして着火するだけ。
- 灯油:プレヒートに時間がかかるが玄人っぽい。
- アルコール:儀式要らず、こぼれると危ない。
ホワイトガソリン用ストーブ
ストーブの種類によりますが、加圧式の場合はしっかりとポンピングして本体の燃料を少量出して着火し1〜2分(季節による)プレヒートしてガスが出れば着火するだけで火が点きます。火がついたら再びしっかりとポンピングして完了です。
123Rなどの自然加圧式のストーブは、タンクを握って燃料を温め気化させたりタンク自体に燃料を数滴垂らして着火して気化させたりと慣れが必要です。
灯油用ストーブ
ストーブにはプレヒート用の受け皿が有り、着火用の固形アルコールや本体の灯油を溜め着火してしっかりとプレヒート(2〜3分)後に炎が残っているうちにほんの少しだけ燃料コックを開きガスが出るようならそのまま点火!もし液体の念慮が出るようならプレヒート不足なのでもう少し待ちます。火がついたら追いポンピングで完了。
という少し面倒な儀式が必要ですが、慣れれば簡単だし、周りのキャンパーから注目されるかも知れません。
プレヒートが足りないのに燃料コックを一気に開くと液体の燃料が吹きだしてストーブが火だるまになるので、必ず少しだけ開けて様子を見てください。
少しだけ開いていれば燃料はチョロチョロ出て炎が少し大きくなるだけなので問題ないです。
燃料の保管は安全ですが、プレヒートでは炎が大きく上がるので周りの物が燃えないよう余裕が必要です。
アルコール用ストーブ
マッチで簡単に火が点き、炎に見にくいので昼間だと燃えているのが分からない事があります。
燃料の温度が上がるほど燃焼が激しくなり微妙なコントロールは効ききません。
加圧されない分風に弱い上、倒したりすると燃料がこぼれ大変な事になるので注意が必要です。
それそれのストーブの魅力
液燃ストーブも山ほどあって、どれが良いとは言えないのですが、ここに代表的なストーブを簡単に紹介します。
マナスル121

画像出展:スター商事
約60年前から製造されている国産の灯油ストーブで真鍮製のボディが非常に美しく所有欲を満たしてくれますが、職人による手作りで現在は非常に品薄になっています。
燃焼音は「シュボォォォォ」と言う音で、圧力を抜くことで火力の調節がしやすくご飯を炊くのにはガスより使いやすいです。 詳しくはこちら
トランギア アルコールバーナー

画像出展:イワタニプリムス
真鍮製で、ねじ込み式の蓋付きの缶の様な形で、簡単に着火出来て蓋をすれば燃料が入ったまま携行出来ます。1つあるともしもの時に役に立ちます。
コールマン スポーツスターⅡ

画像出展:コールマン
恐らく世界で1番販売された液燃ストーブです。日本ではホワイトガソリン専用ですが、本国には赤ガスも使えるタイプが有ります。
燃焼音は「シュゥゥゥゥゥゥゥゥ」という静かな音です。
オプティマス スベア123R

画像出展:スター商事
真鍮製の円筒形のボディが非常に美しいホワイトガソリン専用のストーブでです。自然加圧式で機構が簡単なので故障知らずです。
スノーピークのコッヘルにピッタリ収まるので収納は楽です。
点火して安定すると「シュババババ」という勇ましい燃焼音です。
火力調整は難しいです。
オプティマス NOVA

画像出展:スター商事
ホワイトガソリンと灯油など複数の燃料がそのまま使える優等生で、火力調整も簡単で楽に使える一台です。
本体と燃料タンクがホースでジョイントされているので少々場所を取りますが、数種類のタンクが有るので満タンで1.5時間のタイプから8時間以上使用できます。シチュエーションに合わせて選びましょう。
燃焼音は「シュゴォォォォォ」と言う爆音で1人の時でも寂しく無いです。
火力の調節もしやすく炊飯に向いてます。
燃料を選ばないので、ホワイトガソリンが残ってるのに灯油を給油しても使えます。
MSR ドラゴンフライ

画像出展:株式会社モチズキ
ジェットという付属の部品を交換することで、ホワイトガソリンと灯油など複数の燃料に対応出来ます。
独特の折りたたみ方で「ドラゴンフライ(とんぼ)」という名前の由来になっています。
ホースでジョイントするタイプですが、機構が簡単で破損しても直ぐに交換可能です。
燃焼音はトンボらしく「ババババババババ」という爆音で、火を消した時の静けさが何とも言えない清々しい気持ちにさせてくれます。
音は豪快ですが火力の調整がしやすいので炊飯にも向いています。
MSR ウィスパーライト インターナショナル

画像出展:株式会社モチズキ
ホワイトガソリン用と灯油用(インターナショナル)の2機種が有ります。
ドラゴンフライと同じくホースでジョイントするタイプですが、シンプルな構造でメンテナンスも楽に出来ます。
「Wisper」の名前の通り燃焼音は非常に静かで、「シュゥゥゥゥ」というガスの様な音で会話が弾むストーブです。
音は静かですが弱火にするのにテクニックが必要です。
SOTO ムカ ストーブ

画像出展:Shinfuki Burner
国産の分離型ガソリン専用ストーブです。
コンパクトで、かつ作り込まれた機能美は、まさに「MADE IN JAPAN」とという逸品です。
プレヒートも必要ないので誰でも簡単に使うことができます。
音は「ブボォォォォォォ」と言う勇ましい音がしますが、熱量が4000kcalもあるので仕方の無いところです。
メカ好きにはたまらない製品だと思います。
コールマン パワーハウス ツーバーナー

画像出展:コールマン
昔は二口のストーブも幾つか有りましたが、現在ではコールマンのツーバーナー1択になります。日本ではホワイトガソリン専用だけですが、本国には赤ガスも使えるタイプが有ります。
堅牢で使い勝手が良いので大人数にオススメです
比較表

まとめ
液燃ストーブのメリットやデメリットを紹介しましたが、ガスに比べて低温に強く入手が比較的容易でゴミが出ない、使用時の輻射熱を心配しなくて良いし、所有欲を満たしてくれる。燃料をランタンと共有出来る。 などメリットが沢山有るので信頼して使える1台になると思います。